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病み上がりのメルヘン日記:溢れたから書く話

2009年05月12日 09:00

ぱっかと。


夜中に割れるように頭が痛くて眼が覚めた。

うわぁ、ガンガンするぅうー割れるぅーーと思ってたら割れた。

その割れた頭からいろんなものが飛び出してきた。


数分後からっぽになった頭をぶら下げてベッドから這い出すと、なんとも心地良いふわふわとした足取りで靴を履き表へとでていった。

暖かい、でもまだわずかに肌寒い風を受けて公園のベンチに座り、ふと顔を上げると先ほど頭から飛び出していった数々のかけらが散らばっていて、風に吹かれて不安定に今にも散逸しそうだった。


「あぁ、そうだ。あれはボクの大切な思い出たち。急いで集めないと大変なことになる」


そう不安に駆られたボクは、一心不乱にちらばった思い出を集め始める。

やっとこさ全てを拾い集め、ほっと一息いれたところ、どうにもその思い出たちが軽い気がした。

むぅ、まだ全部でなかったのか?それとももともとこんな程度にしかなかったのか?

そう思い、ひとつひとつを見比べて確認していった。


「あぁ、そうだ、これはあの時の思い出だ、こっちはあれか?まぁ懐かしい」


しかしからっぽのボクの頭では、たしかにそれがそうだと言われれば、んーそうだなと思えるのだが、なんせからっぽ、ホントに自分のものなのか、何が足りないのか?もしくは間違って違う誰かの物を拾ったのか?そこらへんはよく分からなかった。

仕方がないので、なんとなく自分のだと思えるやつだけ頭にいれて、違和感を覚えたものは空に放った。

空へと登っていったそれらは、自らの手を離れるとやけに輝かしく、とても惜しく感じられたけど、もう落ちてくる気配は微塵も感じられなかった。


しばらく物欲しげに輝くもしかしたら自分の思い出を眺めていたが、やがてそれが自分の手を完全に離れていってしまったことを知り、首を振ってボクは家に戻っていった。

きっとあの中には自分のも入っていたのだろう。

そう思うと悲しくなった。同時にもしかしたら自分のじゃない誰かの大切な物を誤って拾ってしまった可能性も考えると恐ろしくなった。

ボクには必要ないものでも、その人には大切なものだったのかもしれないから。


いつかあの空に輝く思い出たちが落ちてきた時、それを一つ残らず大切に拾い集めよう。

いつか自分の思い出を亡くした誰かが眼の前に現れた時、ボクが誤って手にしたものをちゃんと返そう。


そう思ってつぶやいてみる。



「ボクの名前はりゅぢ。いつか海賊王になる男だ」

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