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万物無用:溢れたから書く話

2010年02月23日 17:16

邯鄲の夢



『よいですか?私の言う事を努々疑うことはなさいませぬな。あなたの部屋の東南東の片隅をよくよく見つめてみなさい。するとそこに小さな小さな穴を見つけることができるでしょう。なに、そのままの姿では入ることはできません。そうですね、米粒くらいの大きさにまずはなりなさい。そうしてその穴を通り抜けるのです。少し狭いかもしれません。ですがそこをなんとか諦めずに通り抜けると、今度は三つの扉があります。間違えなさんな、一番右の扉に入るのです。四畳半の部屋の中空に、浮かんでいるような、つるされているような花瓶の中にまだ蕾のまま一本の花が挿してあるでしょう。その紫の花びらを一枚一枚丁寧に剥がしていくと、白い花弁がでてくるのでその中にある鍵を持って今度は一番左の扉をあけなさい。そこには財宝の山、永遠の命を保つ薬、夢の枕とあります。間違えてもその他のものに目がくらまぬようお祈りしております。“夢の枕”、それを持ってくるのです』

そこまで聞いてりゅぢ氏は尋ねた。“夢の枕”とは一体なんぞや?と。

『夢の枕、それは文字通り夢を見せてくれる枕にほかなりません。わずか刹那、その間に一生の夢を見せてくれる夢のような枕でございます。夢の中であなたは良い事も悪い事も経験して、そして死を迎えるでしょう。死を迎えたときが夢の終わり、眼が覚めるときです。眼が覚めたあなたは眠る前となんら変わった事はありません。全て以前のまま、金持ちで死のうが貧乏人で死のうが、それは夢なのです。人生においてさまざまな後悔や挫折を味わってきたでしょうが、また眠れば初めから一生をやり直せるのです。永遠に生きるのではありません、一生を初めからやり直せるのです。こんなに素晴らしい枕はないでしょう?』

しかしそれは所詮夢の話であって、今この現実に対し干渉してくるものでないのなら、なんの意味をなさないのではないでしょうか?

『それはあなたが今この“現実”と呼ぶ場所にいるからです。考えてもみなさい。夢の中で一生を送るのですよ?それはそれは長い時間です。100歳生きるかも知れないし、10年で死ぬかもしれません。10年、それにしたって十分に長い時間でしょう。起きたら10分と経ってないかもしれませんが、夢の中であなたは紛れもなく10年を経験しているのです。そんな一生をなんどでも繰り返せるのです。そのうちどちらが現実でどちらが夢であるかなど、些細な問題となってくるのではないでしょうか?なにせあなたは夢の中での方が、長い時間生きている』


そこまで聞いてりゅぢ氏は“夢の枕”とやらを取りに行く決意をした。
夢と現実の境界が曖昧となった今、どちらが本当の現実かを語るのになんら意味があるのであろうか?
現実世界を貫く時間軸とは別の軸を持つのなら、それこそがまさに拠って立つべき真実なのではないだろうか?
今りゅぢ氏が突然の死を迎えたところで、どこかまったくの別次元で眼が覚めないと一体誰が断言できようか?
この現実がただのりゅぢ氏の一夜の夢であると、誰が否定できようか?


そうしてりゅぢ氏は“夢の枕”を手に入れた。



一体全体どうしたことであろうか?

あれから全く眠れない。
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コメント

  1. パーンチ(グレード低い) | URL | -

    今 ずっと眠っているんだよ
    目覚めてないんだ

    迷妄の中生きている

  2. りゅぢ | URL | -

    >パーンチ(グレード低い)

    目覚めたらきっとどこかの国のプリンスだし、はやく目覚めネェかなー

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