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透明少女:溢れたから書く話

2010年02月02日 10:59

三度傘



衆目を気にせず唄い続ける人がいた。
彼は自転車で前方より至り、りゅぢ氏の後方へと去っていった。
俗にいうドップラー効果によって、過ぎ去ってからの声はやけに小さく且つ、哀愁を帯びる。


『あなたは三度傘♪三度傘♪あぁあなたは三度傘♪三度傘~三度傘~あなたは三度傘~~♪』

何回言うね?
都合48度傘くらいになった頃、りゅぢ氏は『三度傘』の旋律に心動かされ、足は自然と彼の後ろを求め歩を進めていた。
現代のパイドパイパー、いわゆるハーメルンの笛吹きというか三度傘。


りゅぢ氏が三度傘を追い始めてから9度目の三度傘で4人が加わった。
36度目の時にはさらに増えて13人も加わった。
48度目の三度傘ではその数は数えられない程増えていた。

さらに11回の三度傘を迎えた時、彼はぴたりと唄うのを止めた。
集まった人々は例に漏れずざわめきだした。

『どうした?』『何故唄わない?』『ここまで着いてきたのに』

そうして数100の視線が彼に降り注がれる。
彼の口元を見、『三度傘』の音を待ちわびた。

どのくらい時間がたっただろうか?
『あっしはしがない旅カラスでして、、、』
そう言って、彼は去っていった。

置いてかれた人々は騒然とした。
あるものは去り、あるものはその場で彼が戻ってくるのを待った。
りゅぢ氏はといえば、どうしようか甚だ困った。
帰りたい、だが独りで帰るには不安が大きい。
なんせ夢中になって追いかけてきたので、帰り道が思い出せない。うろ覚えにもほどがあった。
そうこう悩んで見知った顔を捜したが、誰も彼も均一化されて同じ顔にしか見えなかった。
そんな中、透明な少女を見つけた。

うっすらと向こう側が透けて見える少女は、りゅぢ氏を見るとニッコリと微笑んだ。
『帰り道、分からないけど一緒にいかない?』
そう尋ねると、コクリと頷いた。

存在感そのものが希薄な少女は気づくと消えてしまっていてもおかしくなかった。
気が気でなく、なんどもなんどもその存在を確かめるかのように目線を送った。
いつ見ても少女は、透き通った向こう側がうっすらと見えるその顔でりゅぢ氏を見つめて、ニッコリと微笑んでいた。
何度も何度も少女を見た。
1回、3回、5回・・・11回・・29回・・・、そして59回目で彼女が少し欠けているコトに気がついた。

『欠けてるよ?』

『あなたが欲しがると欠けるの』

『どうして?』

『仕方ないわ、そういうものだから』

なんだか申し訳なくなり、『ごめん』と謝った。

『ううん、いいの、だってそういうものだから』

どんどん欠けていく少女を見ていると、心が締め付けられ、いてもたってもいられなくなった。
慌てて少女から剥がれ落ちていく欠片を拾い集めて巾着に入れていく。
もともと透明であったことと、中には踏みつけられて粉々になったものもあり大変難儀した。
りゅぢ氏が欠片を探して四苦八苦している間にも少女はどんどん欠けていき、とうとう口元だけを残して粉々になってしまった。

『三度傘、そんなに良いものじゃないわ、煩悩よ。あなた、108回目ね、これで』

そういい残すと少女の口元も粉と化した。
全ての欠片を巾着に入れて、それを抱きしめながらりゅぢ氏は哀しさと後悔で滔々と涙を流した。

『ごめんね、欲しがらないよ、もう欲しがらないから、』



こういった理由で、みんな欲しがっているかもしれないが、りゅぢ氏は三度傘を欲しがっていない。


なっ、、、げーーーーーーーよ!!!
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コメント

  1. ぽんつく | URL | -

    え?え?
    何これ? 何なの?

    何故かわからんけど
    なんでこんなに キュンキュンするの?

  2. りゅぢ | URL | -

    >ぽんつくん

    おっと、思わぬ胸キュン効果が・・・。
    何故でしょう?それは恋なのです!

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