ちろちろ。

りゅぢ氏の目の前で犬がちろちろしていた。
繋がれた紐が前足に絡まり、不自由にも片足を上げてピョコピョコしていた。
心優しきりゅぢ氏は穏やかな午後の海を思わせる微笑を湛え、それを解いてやる。
その犬は突如の解放にに喜び、全身で感謝の意を表した。
パンダと名づけた。
白と黒だから。ひねりなし。
パンダは可愛いやつだった。
大人しく、手を出すと手を舐めた。
お腹をさすってやると、感極まる動きで気持ち良さを体現した。
りゅぢ氏は犬が好きである。
猫派とか犬派とか、完全犬派である。
その派閥に猫的要素皆無。
いつでもどこでも懐いてくる犬が好きである。
犬が好きだ。何故ならあいつらはオレに逆らわない。
ちょっと将来的になんらかの社会を震撼させる事件をりゅぢ氏が起こしたとき、この文章がプロファイリングされるであろう。
『キーワードは“オレに逆らわない”です』
「なぁ、パンダ。お前はオレを裏切らないよな?」
りゅぢ氏は話しかける。
その間もパンダは気持ちよさそうに目を細める。
うにうに、うにうに。うにうに、うにうに。
パンダはお腹をさすると『もう好きにして!』状態になるようだ。
りゅぢ氏は思う。「犬好きの人間に悪い奴はいない」
えぇ、その通り。
かのヒトラーも犬が大好きであった。
そりゃもう人間よりも犬が大好きであった。
犬好きの人間に悪い奴はいない。のか?
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