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オマージュだよオマージュ

2009年06月17日 22:25

くえすと。



18歳の誕生日、よく晴れた朝だった。
今にして思えば、何故あんなにも晴れていたのか?
私の心象風景を表せば土砂降りでも足りないくらいだったのではないだろうか。

『起きなさい、りゅぢ。さぁ、起きるのです』

母の声に眼が覚め、私は寝ぼけ眼をコスリコスリ、真剣な面持ちの母を見る。

『さぁ、りゅぢ。今日は待ちに待ったあなたの18の誕生日。これから王様のもとに行かなくてはなりません。今まで黙っていましたがあなたの父は勇者だったのです』

突然の告白に驚きを隠せない私であった。
父が勇者?
父の職業勇者?

『りゅぢ君のお父さんてなにしてんの?』
「え、、あ、、、ゆ、勇者?らしいよ」

ちょっとそれだけでもイジメの対象になりそうであり、母が今まで隠していてくれたことに感謝した。
しかし、あの父が勇者。
たしかに下半身に抜き身のエクスかりバーをぶら下げて朝食を食べるような男だ。
或る意味私にはない勇気であり、勇者であるとも言えるが愚者とも紙一重だ。
Tシャツを着てるのに、パンツを履いてない、「お前それせめて逆だろ」といいたくもなる。

さまざまな思いが逡巡してるなか、母に連れられて私は王城に登った。
城門の前で『ここからは一人で行きなさい』と母と別れ、城内へと入り王様に謁見した。
三跪九叩頭をさせられ王様の顔を見つめると、王は言った。

『よくきたりゅぢよ!そなたの父マサルは勇者であった。その遺志を継ぎそなたも戦いにでなくてはならない。』

遺志?

「あの、父は家でテレビ見てましたけど?」

『マサルがあのような死に方をしたのは真に残念。しかし、だからこそそなたはマオウを倒さなくてはならない』

「え?あのような死に方?ですから、父は・・」

『ここに武器といくばかりの金を授けよう。これを旅の足しにしてくれぃ!』


人の話聞かねぇな、おい、このおっさん。
若干イライラが募りつつも、無駄だと悟り私は渡されたものを確認する。
宝箱の中には、棍棒と150円、『ぽるしぇ』と書かれたTシャツが一枚入っていた。

「すみません、これ宝箱にいれるほどのものですか?いやね、そもそもマオウを棍棒で倒せって無理だろうし、150円て何?ペットボトルのジュースしか買えないじゃん。それより『ぽるしぇ』ってせめてカタカナだろっ!!」

私は切れた。
すると王様は露骨にそっぽを向き、時計を気にしだした。
『もうすぐ笑っていいともはじまるんだけどな』そんな態度になおさら私がイライラを募ったコトは想像に難くないだろう。
そんな二人の陰険な雰囲気を察して、大臣らしき初老の男が口を挟む。

『すまぬの、りゅぢよ。我が国も今財政が苦しくてそれだけしか出せぬ。悪いのだが足りない分は自身で稼ぎなんとかマオウを倒してくれぬか?』

「いやです」

『そうか、苦労をかけるの。だが、倒した暁には必ずやお前の望みどおり、カタカナで『ポルシェ』とかいたTシャツを渡そう』

なんなの?この城の人たち。誰も人の話聞いてないじゃん。
ぽるしぇのTシャツはいらないから、報酬それだけってキビ団子より安いから。


「あの、すみません。最後に一つだけ、これだけちゃんと答えてもらっていいですか?」

もはや何を言っても無駄だと諦め、大事な一転の確認だけすることにした。

「マオウってどんなヤツなんです?」

『お、いい質問だ』

王様と会話のキャッチボールが成り立ったことに私は少し興奮した。あれ?こいつちゃんと話聞いてんじゃん?みたいな。

『マオウは恐ろしいやつである。どんなヤツかというと、これはあくまで噂じゃ。というのもその姿を見たものはいない。』

『なんでも抜き身のエクスかりバーを常にぶら下げて、歩くとペタンペタンというらしい』


あれ?どっかで聞いたこと或る話だな。
ねぇ、もしかしてそれって・・・


『ゆけ!りゅぢよ。行ってマサルを倒して来い!!』

え?マサル?

『早く行くのだ!こうしてる間にもマオウに苦しめられてる人々がいる』

「いや、今マサルっていいましたよね?」

『マオウを倒して来いっ!』

「ねぇ、ちょっと笑ってない?口元笑ってるよね?絶対マサルって言ったよね??」


問い詰める私の声もむなしく、王様は『笑っていいとも始まるから』と肩を震わせつつ去っていった。
大臣の方に顔を向けると、『クッ』っと噴出し顔を背ける。
なんだかバカにされたような気分だが、私は棍棒を手に『ぽるしぇ』と書かれたTシャツを着て150円はポケットにしまい城を後にした。
途中、『ぽるしぇ』と書かれたTシャツ姿の棍棒持った私と同じかっこしたバカが見えたが、どうやら鏡だったようだ。

城門のところでは母が待っていて、私の姿を見るなり『似合うわね』と一言言った。
帰り道、私は考えた。
この棍棒で父を殴ればそれで全て終わりなのだろうか?
たしかに下半身に抜き身のエクスかりバーをぶら下げて朝食を食べるような男だ。
或る意味マオウっちゃマオウであり、かなりの混沌を司っている。
しかし、マオウはマサル?聞き間違えだったらしゃれにならんぞ。
むぅ、、どうすればいいのだ?


考えがまとまらぬうちに私は家に着いた。
そして、リビングでつまらなそうに笑っていいともを見る父の姿を眼に留める。。


つづく(つづかないかもしれない)
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