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とある絵描きの生涯追憶

2009年04月02日 09:00

勧誘



朝方電車を待ってベンチに座ってると、浮浪者然とした爺さんが話しかけてきた。

『絵はいかがですか?』


一体この浮浪者は何を言っているのだろう?

やや言語不明瞭な為、何を言っているのか理解に時間がかかる。

なるほど、1枚1000円と書いた紙を持っており手にはスケッチブック。

絵描きか?こいつは絵描きなのか??


だとすると、どこのどなた様がこの朝一の時間帯に駅前でゆっくり絵を描いてもらうのであろうか。公園行け公園。

やんわりと結構ですとお断りすると、『そうですか』とあっさり引き下がる。

そうですよ、まったくもって必要ございませぬ。

ところがあっさり引き下がったかに見えた爺さんは、多少のインターバルを置いてさらに話しかけてきた。



『ボクね、84歳なんですけど何歳に見えます?』



なんで答え言っちゃうかな?

そういうのって、何歳に見えます?えー60歳くらい?いやー違います84歳です。うっそー若い!!的な流れじゃないの?なんで答え最初に言っちゃうの??

もうね、84歳って知っちゃってるから、84歳としか答えようがない。


「え、と。84なんですか?」


『そーなんです。84歳なんです。で、何歳に見えます?』


いや、ちょっと待て。

なんだろう、この噛みあわない感じ。どうしてこう話が通じないのだ?

仕方ないので、若いですねー見えないですねーと教科書に書いてある通りに答えた。


『20年前に病気を患いまして、もうダメだと医者にも見捨てられたんです。でもそこで○○学会に入ったところみるみるうちに病気も完治しまして、学会はほんとに素晴らしいところです』


おっと、宗教系の勧誘か?


『で、病気も治って医者に見せたところびっくり。内臓が20代の青年のように若い!って言われまして_』

『あと20年は生きられるって言われました。あと20年も生きたら僕104歳ですよ、はっはっはっ』


20代の青年があと20年しか生きれないのならそれはちょっと健康に難ありじゃねぇのか。

そう思いつつ「いやいやーあと60年いけるんじゃないですか~」なんて野暮なことは言いたくない。この人144歳になる図とか想像したくない。


『でね、これ僕が描いた似顔絵なんですよ』


パッと開いたページを見た氏は思わず呟いた。


「えっ、似顔絵??」


そこには『Let me draw(描かせて)』とだけ、やけにポップなロゴが描かれていた。

そんな氏の逡巡などまるっきりの無視で似顔絵について語る爺さん。

そうか、これも似顔絵なんだな、抽象的な似顔絵なのかもしれないな。

その後またページを開き、そこには不気味な絵力をもったボッサボサの髪型をしたおっさんの勢いある顔が描かれていた。

右端の方には何故か『鏡を見て』の文字。

あれ?もしかしてこれあれか?自画像なのか?ちょいと美化しすぎなんじゃねぇか?


『これ、僕の似顔絵、自画像です。鏡を見て描いたんです、どう?似てるでしょう?』


やっぱり!

似てるでしょう?と聞かれて似てないとは言えない。

しかし、似てないものは似てないし、似てると言いうのはシャクである。

脳内フル回転の結果、搾り出した答え。


「すっごい似てますね、髪型とか」



その後、爺さんは学会を散々褒め称えて去っていった。

一体、何だったのか?朝から何だったのか?

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