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『早く来てくれ、ごくぅぅーーー』

2008年09月17日 09:00

期待しすぎはよくありません。



1999年の7の月。

来訪予定だった恐怖の大王様は、あまりにもみんなが期待しすぎたため、途中で引き返してしまい結局やってきませんでした。

もしかしたらやってきたのかもしれませんが、期待熱に高まったみんなの

『きょ・う・ふ!きょ・う・ふ!』『だ・い・お・う!だ・い・お!』

というシュプレヒコールに『いや、ごめん俺やけど・・・』という彼の声はかき消されたのです。


駅員さんといえども、そこはただの人。

警察ではなく、あくまで一般人と変わらないのです。

そんなに救世主のように期待されたら、でるにでれなくなるもんなんですよ。



所用で吉祥寺に行き、そこから電車に乗った。

駅のホームで電車を待っていると、向かいのホームから怒鳴り声が聞こえてきた。



『てめぇ、このやろう!おとなしくしろ!』



なんだあ?喧嘩でもしてるのか?

そう思ってヒョコって見てみると、おっさんがおっさんを捕まえてた。

ものすごい怒りのおっさんが、しょぼくれたおっさんを羽交い絞めにしてた。


『駅員呼べ!!』


なんだろう?スリか?

そう思ったものの、そばに若い女性もいたから痴漢かな?

わずかに残った側頭部の白髪を、その女性にグワシと掴まれてる。

おっさんには羽交い絞めにされ、自分の娘より若いんじゃないかって女の子には、逃げれないようにガシッと髪を鷲掴みにされ、いとあわれ。


痴漢の末路なんてこんなもんですよ。周りの人も大注目。

あぁ、もうあの人この駅に来れないな、痴漢男として映画化する以外ないな。

誰もがそう思った。

隣のホームからと言えど、ものすごい大声で駅員を呼ぶ、男性女性の叫び声は眼と耳を引く。

誰もが『あぁあのおっさん痴漢したんだな』と、思った。

『いい年して痴漢かよ』誰もがそう思ってた。

痴漢だとしたら絶対無関係であろうおばさんが



『駅員さん、早く来てーーーーー!!!』



と、断末魔のような叫びをあげるまでは。


ボクの頭の大部分を占めてた『あ、痴漢だ』という思いこみは、サイヤ人来訪に恐怖したクリリンの顔に取って代わった。

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